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by musasinokosugi
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飛田東映上映中♪

飛田東映上映中♪_d0136282_2059921.jpg

 今日は昨日サービスデーに見て来た飛田東映3本立ての話である。最初に見た「男はつらいよ寅次郎の縁談」は既にもう何回も見ているが行きがかり上また見てしまった。あちゃ。お遍路さんや高松祭の模様も含めてロケ地・瀬戸内海の風景が活写されているし、破産した料亭のおかみ葉子(今回のマドンナ・松坂慶子)やその父の元船長(島田正吾)以下出演陣も豪華で「男はつらいよ」のシリーズの中でも出来映えは上位にあるのではないかと思う。他の2本は東京~熱海を舞台にした「極道三国志4」と夏を涼しくする(かどうか)「怪談」である。

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1.男はつらいよ(第46作)寅次郎の縁談

 これは一言で言えば大学卒業を間近に控えた満男くんの就職活動の物語である。笑。ぁそ。
 当時『婚活』は無論のこと『就活(しゅうかつ)』という略語もまだ使われていなかったように思うが、冒頭身上書を40通以上書き、面接試験も30社以上こなしながらそのことごとくを失敗したという失意の満男が、さくらの制止を振り切って家出し、東京駅10番線ホームから21:00発寝台特急『瀬戸』に飛び乗って終点高松まで行くことから物語が始まる。
 家を出て一週間後『香川県琴島』というところから満男が瀬戸内の何たらいう特産物を送り付けて来るんだけど、検索にかけたがそんな島はかからなかった。映画には『琴島観光案内図』という古ぼけた大きな看板も出て来るんだけど、ロケは高見島・志々島で行われたというし、これは架空の島なんだろうか、よくわからないけどおじさん一杯喰ったかな。あちゃ。

 満男くんはところで島の診療所の看護婦さんと仲良くなって納屋の中で(寅の伯父さんを差し置いて!)ラヴシーンというかキスシーンまで演じる発展家(?)なのであるが、私は自慢じゃないけど寅のキスシーンなど一度も見たことがない。
 山田洋次監督は「濡れ場」などは殆ど撮らない監督として私は理解しているが、考えてみれば渥美清という役者さんのラヴシーンも私の記憶にはなく、私が唯一覚えているのは『大番』(1962年)という連続テレビドラマで渥美清が相手役の森光子を座敷で戯れいちゃつきながら押し倒すシーンだけである。w

 物語は一度は「就活」を放棄した満男が家に帰り再び活動を開始して終わるが、その際面接に向かう彼を父・博が「嘘なんかつかなくてもいい。ありのままの自分を出してその結果不採用になったとしても構わないんだ」と叱咤して送り出すシーンはさりげないがなかなか「見せる」場面で、山田監督の「自己表出」は意外にこのあたりにあったのかも知れない。

 あと『男はつらいよ』シリーズ第45作が笠智衆の遺作となったということで、この映画でも御前様は里帰りした娘(初代マドンナ・光本幸子)とさくらとの会話の中でだけ「元気にしている」ことになっている。今回彼女と寅の絡みはない。特別出演の「釣りバカ」の浜ちゃんは雨降りの日に釣り仕度の完全装備でとらやの前を通りかかっておいちゃんに「ろくなもんじゃねえや」と陰口を叩かれる。  

cf.オトコはつらい?
cf.大番

男はつらいよ 寅次郎の縁談(1993) - goo 映画男はつらいよ 寅次郎の縁談(1993) - goo 映画

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2.極道三国志4 最後の博徒・血の抗争

 私はこのシリーズの主役は清水宏次朗演じる「龍二」だと思っていたが彼は「2」あたりで死んでしまってもう回想シーンでしか出て来ないのである。あちゃ。代わりに加わった中野英雄という役者はあまりパッとしないというか馴染がないので拍子抜けだった。ぁそ。

極道三国志4 最後の博徒/血の抗争(2000) - goo 映画極道三国志4 最後の博徒/血の抗争(2000) - goo 映画

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3.怪談(2007年)

 この映画は原作が三遊亭円朝『真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)』だということで、私はこれは昔円朝の生まれ変わりを自認する六代目円生のテープで冒頭部分の幾つかを聴いただけだったので、あの長い噺をいったいどう縮めたのかと思っていたら、映画は代替りした後の息子・新吉と娘・豊志賀の出会い以降を追っていた。
 円朝は幕末から文明開化の時代を生きた人なので、円生も枕で説明していたが当時は幽霊・お化けなどというものは「神経」の錯乱が齎す幻覚・幻聴の類の錯覚に過ぎないということがしきりと啓蒙されていた時代であり、「神経」は安政当時の流行語だったというのである。怪談噺を連日高座にかけて客を呼び込みたい興行主・円朝の側はこれを逆手にとって「真景」を「神経」にかけてタイトルに使ったのである。

ウィキペディアによれば: ↓ ↓

「概要」
旗本が金貸しの鍼医皆川宗悦を切り殺したことを発端に両者の子孫が次々と不幸に陥っていく話(前半部分)と、名主の妻への横恋慕を発端とする敵討ちの話(後半部分)を組み合わせている。全97章から成る。1859年(安政6年)の作。当初の演目は「累ヶ淵後日の怪談」。1887年(明治20年)から1888年(明治21年)にかけて、小相英太郎による速記録がやまと新聞に掲載。1888年に単行本が出版された。

・・・・・・

「累ヶ淵」の累(かさね)の物語をヒントにした創作で、「真景」は当時の流行語だった「神経」のもじり(漢学者の信夫恕軒が発案者)。前半部分は特に傑作と言われ、抜き読みの形で発端部の「宗悦殺し」・新吉と稽古屋の女師匠との悲恋「豊志賀の死」のくだりなどが現在もしばしば高座にかけられている。6代目三遊亭圓生、林家彦六が得意とし、歌舞伎化や映画化されている。 なお、芝居噺の「累草子」は本作の原話と言われ、林家正雀、2代目露の五郎兵衛によって演じられている。

cf.真景累ヶ淵

 映画は、この因果応報あり奇遇あり仇討ちありのおどろおどろしい世界の中から、高利貸し・宗悦殺しの極悪旗本の息子=新吉と殺されて累ヶ淵に沈められた宗悦の娘(稽古屋の女師匠)=豊志賀との悲恋をモチーフに、どこへ行ってももてもての新吉が娶る新妻を豊志賀が次々とその遺言通りあの世から「とり殺す」仕立てになっている。

 新吉役は最近「・・で、結婚しないの?」「出たぁ!」のカレーのCMに出ている尾上菊之助、豊志賀役は妖艶(?)黒木瞳である。

怪談 - goo 映画怪談 - goo 映画

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by musasinokosugi | 2009-08-15 20:59 | 写真・ムービー等