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by musasinokosugi
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7/17friday.飛田東映サービスデー。

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 最近『飛田東映』から遠ざかっていたのでどうなっているのかと思って行ってみたら、寅さんの第一作まで遡った後は隔週でリリーさんのシリーズを一本かけ、再び隔週で今回の『紅の花』がかかっていた。これを見た。飛田はやはり寅さんが似合う映画館である。来週は『釣りバカ』の第19作がかかるのでこれも出来たら行きたい。ぁそ。

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①『侠客列伝』・・これは1968年に、巨匠・マキノ監督の手によって当時の東映ヤクザ映画のオールスター総出演で作られた言わば「大映画」とでもいうべき記念碑のような作品で、流石に正々堂々としたオーソドックスで鷹揚で重厚な仕上がりになっているが、しかし時の流れはまさにテレビの「軽薄短小」的気安さ・気楽さ・即応性を選択しつつある時代だったわけで、映画界は総体としていわゆる「斜陽化」の流れには抗い切れなかったのである。
 今仮にこのように多大の金と時間と労力をかけて「正攻法」の映画を作っても多分全然受けないし結果採算も取れないだろう。この映画も「古き良き昭和」の面影・その片鱗を映し出す一つのエピソードに過ぎないのかも知れないということである。

・明治40年という「賭博禁止法」が上程されようという時代を背景にしたこの作品で、鶴田浩二は特別出演として「人斬り浅」という流れ者の暗殺者を演じ、主演の高倉健との命のやり取りの最中逆に「味方(即ち悪玉)」の拳銃で暗殺されてしまう。ヤクザ映画には一般に奇妙なタブーというかセオリーがあって、看板スターたる鶴田浩二が同じく看板スターの健さんに殺されるわけには行かないのである。芸者役の藤純子との昔日の恋を実らせ、彼女を身請けして二人で旅立とうと計るのも鶴田浩二で、彼はこの映画の影の主役、悲運のヒーローだった。

・あとヤクザ映画定番の最後の殴りこみでは、殺された親分の墓前で健さんに他の善玉任侠道の三人が加わって総勢四人での豪華な(?)切り込みとなり、うち二人が殺されるという犠牲を払って敵の親分の玉を殺(と)ったところで白い制服姿の官憲多数が入って終幕となる。

侠客列伝(1968) - goo 映画侠客列伝(1968) - goo 映画

マキノ雅弘 (マキノマサヒロ) - goo 映画マキノ雅弘 (マキノマサヒロ) - goo 映画

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②『出口のない海』(2006年)は先の太平洋戦争終結直前の大日本帝国海軍の秘密兵器=『人間魚雷・回天』の搭乗員らの周辺を描いた戦争映画であるが、山田洋次監督が脚本に絡んでいるから間違っても大東亜戦争礼賛の映画などではない。笑。

 タイトルの『出口のない海』は私は頂けないと思うが、全般に抑制の効いたいい映画で、主演の市川海老蔵も好演である。

監督 : 佐々部清
原作 : 横山秀夫
脚本 : 山田洋次+1
出演 : 市川海老蔵 、 伊勢谷友介 、 上野樹里 、 塩谷瞬 、 柏原収史 、 伊崎充則 、 香川照之 、 古手川祐子 、 三浦友和

出口のない海 - goo 映画出口のない海 - goo 映画

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男はつらいよ 寅次郎紅の花(1995年第48作)は神戸淡路大地震のあった1995年の暮れに公開されたシリーズ最終作で、震災当時の村山首相の被災地訪問の実写フィルムを寅のボランティア活動と合成して本編に加えるなど、これまでなかった工夫もなされており、エンディングでは寅がまだ仮設住宅の立ち並ぶ現地・神戸長田区を激励に訪れてもいる。
 主演の渥美清が翌1996年4月に他界されたので結果的にこの作品が最終作になってしまったわけだが、山田監督としては区切りのいい第50作までは撮る構想があったとされている。詳しくは ↑ ウィキペディア参照。

 震災当日早朝、愛知県にいた私は大きな揺れを感じてすぐテレビを付けたが、あれはどの局のカメラマンだったか、ビルの外に出て倒壊しつつある近隣のビル街を茫然自失の状態で撮影していた。まだ高速道路倒壊の映像や続々派生した大火災の映像が配信される以前のことである。

キャスト

車寅次郎:渥美清・・・・撮影当時既に肝臓癌が肺に転移した状態で、医者には撮影は不可能と診断されていたらしい。
リリー :浅丘ルリ子・・シリーズ四回目の出演で、劇中過去三回のエピソードを寅と二人で回顧して満男くんに語って聞かせる場面があって旧作を記憶している者へのサービスになっている。
諏訪満男:吉岡秀隆・・・私は初期の作品で初代の満男くんが乳母車に乗せられたり小学生だったりする場面を相当数見せつけられていたので、今回社会人になって背広姿で靴屋の営業なんかをしているところを見ると隔世の感がある。w
及川泉 :後藤久美子・・かつては『国民的美少女』だった。
諏訪さくら:倍賞千恵子・初期の作品ではミニスカート姿も初々しい新妻姿だったが最終作ではすっかり中年のお母さんになってしまっていた。アッタリマイってか?あちゃ。
諏訪博  :前田吟・・・・・・・・・この人もあれだね、中年太りのおっさんだった。
車竜造(おいちゃん):下條正巳・・・すっかり老け込んでいた。
車つね(おばちゃん):三崎千恵子・・同上。
桂梅太郎(社長)  :太宰久雄・・・この人はなぜか歳を感じさせない。
源公:佐藤蛾次郎・・・・・・・・・・この人もそうだ。
(御前様:笠智衆は既に故人になっていてこの数作前から出ていない。)
ポンシュウ:関敬六・・・・・・・・・冒頭他で寅と一緒の旅先に出て来る。
及川礼子:夏木マリ・・・・・・・・・昔TBS会館での新人オーディションでこの人が山口百恵を破って優勝したところを目撃したことは既に以前書いた。ぁそ。
箕作伸吉:笹野高史・・・・・・・・・釣りバカではスーさんの運転手だが、今回はゴクミを嫁に迎える津山の旧家の親父役。
政夫:神戸浩・・・・・・・・・・・・満男に妨害されて花嫁に逃げられるだけの役どころで詳しい性格描写などはない。
リリーの母:千石規子・・・・・・・・幼いリリーを捨てて男と駆け落ちし、今は都下の特別養護院で暮らしている。面会に来たリリーに奄美大島へ来るかと問われても拒否する。
船長:田中邦衛・・・・・・・・・・・『でいご丸』とかいう奄美の離島を結ぶ連絡船の船長さんだが、注意して見ないと見過ごす。
パン屋いしくら店主:宮川大助・・・・長田区で被災してゼロからの再出発をするべ-カリーの主人で、一度一人でとらやへ寅を訪ねて来るが不在だった。
パン屋の妻    :宮川花子・・・・その奥さんだが映画では「大助・花子」は賑やかし程度にしか使われていないのが不満と言えば不満である。
駅舎の男 :桜井センリ・・・・・・・冒頭とらやで出した「探し人」の小さな広告を虫眼鏡で読む。寅は一年程音信不通だったという話になっている。とらやは男女の若い従業員二人を雇っているという設定だがこれはちょっと不自然か。
タクシー運転手:犬塚弘・・・・・・・終盤奄美へ帰るリリーと寅を空港まで送り届ける。
被災地神戸長田区の会長:芦屋雁之助・これもちょい役だった。

cf.YouTube予告編

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by musasinokosugi | 2009-07-18 20:21 | 写真・ムービー等