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by musasinokosugi
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他国の死。

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 故井上光晴の小説に『他国の死』という作品がある。内容は興味のある方には個々あたっていただくとして、タイトルは様々な連想を惹き起こす。

 ミャンマーは軍部が独裁している国家であるが、これをイラクのように外国軍隊の力で有無を言わせず打倒するという方向にはない。「民族自決」・「自助自立」という大原則を今直ちにとっぱらってしまうと世界はくしゃくしゃになってしまう。我々は自分で思っているほど賢い動物ではないのだ。
 中国四川省は山間部とは言え1億近い人々が生活している場である。そこが今回M7.9の大地震で壊滅的な被害を受けたと言っても省全体が土砂に埋もれてしまったわけではない。地震波は遠く北京にも震度3で伝わったが、被害の軽微な地区では何事もなかったかのような平穏な日常が続いている。地震の前日五月十一日(日)午後、私は御堂筋オープンフェスタを観覧していた。そこには大阪市長も大阪府知事も冬柴=大奥の茶坊主も来ていた。
 五月十五日(木)私は京都葵祭を見に行った。更に言えば昨日十八日までは東京浅草では恒例三社祭が挙行されていたことでもあるし、要は四川省が現在どういう惨状に瀕していようといまいと、こちらはそのニュースを横目で見ながら平気の平左でお祭り気分なのであるが・・。
 
 地震の死者が5万人を超えるとか、サイクロンの死者が13万人だとか知ってもその数字があまりに巨大過ぎて逆に却って我々には切迫感が伝わって来ない。されば電話するだけで支援出来る募金に応じればそれで良しか。他人の不幸を自らのものとして実感出来るほど我々は聡明ではない。
 中国の行政の対応が遅いと非難するのは容易い。地震後四日立っての海外からの救助受け入れは確かに遅過ぎるだろうが、では発生直後の受け入れなど実際可能だったのだろうか。すぐ来て貰ったとして、誰をどこに配置出来ただろう?建物は「おから建築」などと言われ耐震構造もへったくれもない。山ごと埋もれてしまったような町をどうしろと言うのか。全天候型ヘリも飛ばさず徒歩行軍で被災地救援に向かった中国軍に中国国内のネット上で非難が集中したと言うが、何分12億もの人間が犇いている超大国での話である。小回りが利く筈がないし、小回り出来たらむしろその方が怖いだろう。

 我々にしたところで、他人の心配する前に自分の心配しろと言われたらどうする?
 神戸淡路の大震災で学んだように四川省では今後のケアに難問が山積している。

 我々は大陸プレートの摺動も巨大サイクロンの襲来も殆ど無抵抗で受け容れざるを得ない無力な存在だが、翻って国内に於いては、自公政権と霞ヶ関が今後齎すであろう「人災」に抵抗出来ない程非力な存在でもないのである。

by musasinokosugi | 2008-05-19 10:20 | 時事